喉のお話

声枯れしたなどということを時々言いますが、病院などではその症状を嗄声(させい)と言っています。急性声帯炎などの時の努力性嗄声(力を入れないと出ない声)、喉頭がんなどの粗造性嗄声(ガラガラの荒れた声)、反回神経麻痺などによる気息性嗄声(息の漏れる声)、喉頭の筋力低下などによる無力性嗄声(力のない弱々しい声)などがあります。

歌手や保母さんや政治家に多い声帯結節では気息性と努力性がミックスしたような声になります。声帯結節は声の長期間の酷使により粘膜が「かかと」の皮膚のように厚くなると考えると分りやすいでしょう。声帯ポリープはこれとは少し違って、カラオケなどで大声を張り上げたりしたために粘膜の血管が切れて出血し急に出来ると言われています。似たような名前で全く違う疾患にポリープ様声帯と言うのがあり、両側の声帯粘膜の下(固有層浅層)にゼリー状のものが溜まり、だみ声のようになってしまいます。

これはスナックのママさん病(あまり良い表現ではありませんが・・・)とも言われています。何故かといいますと、酒・タバコ・カラオケという条件が3拍子そろいやすい職業であり、この中でも特にタバコが原因の90%を占めると言われています。締め切った部屋の中では、自分が吸わない場合でも他人の煙で発症します。もちろん個人の体質もありますので、タバコを吸う方みんながなる訳ではありませんが、逆に1度なった方は手術をした後も、環境(3拍子の条件を無くす)を整えて行かないと再発する可能性がありますので、ご注意ください。

その他にも、声帯の粘膜の下に袋ができる声帯嚢腫や、年齢とともに声帯の筋肉が薄くなる声帯筋萎縮や、声帯の線維組織が減少してなる声帯溝症(これは若い人でもなります)など嗄声の原因はたくさんあります。中でも最近のストレス社会では、痙攣性発声障害なるものが増えてきています。これは発声中にだんだん声が出なくなってくるもので、うつ状態が原因のものや、声帯筋を動かす神経の機能的な問題のもの、そして声帯を取り巻く喉頭筋の凝りが強力なために起きるものなど多岐にわたっています。症状は似ているので、一人一人をよく診察して判断する必要性があります。

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