お耳の痛くない中耳炎です。3~6歳くらいに特に多いようですが、細菌で腫れて痛い急性中耳炎と違って、特に小さ いお子さんは、聞こえにくいという訴えをあまりしません。症状としては、なんとなく不機嫌だったり、言葉の発音が違っていたり、名前を呼んでも振り向かなかったり、大きな声で話したり、テレビの音を大きくしたり・・・。
難聴の程度は軽く、おおかたは中学校に入る前までに治ると言われてはいますが、それでも期間が長いし中耳炎を繰り返しながらだんだん治っていくという感じですから、その間は言葉の発音や、授業への影響(聞き取りにくくて集中力を欠くなど)、友人との協調性の問題(聞き返すのが嫌で友人からなんとなく遠ざかりがち)などの問題もあるかと思います。稀に慢性化して、大人になっても聞こえづらいことがあります。
急性中耳炎が治る過程で一時的にこの状態になることもありますが、その場合は比較的早くお耳のお水が抜けていきます。ただ最近は、治ったと思ってもまた急性の中耳炎を繰り返す、難治性の中耳炎も多くなってきており、その原因はアデノイドなどに住みついた肺炎球菌(ペニシリン耐性肺炎球菌 PRSP・PISP)やインフルエンザ菌(β-ラクタマーゼ非産生アンピシリン耐性インフルエンザ菌 BLNAR)が主なもののようです。
いずれにしても、小さいお子さんは解剖上、アデノイド(鼻の奥の扁桃組織)や扁桃腺が大きく、また耳管(中耳と鼻の奥で繋がり中耳の換気や気圧調節をしている管。耳管の穴がアデノイドの圧迫や鼻汁で塞がると中耳の換気ができず、閉じ込められた空気が吸収されて圧が低くなり、鼓膜が凹んだり周りから滲出液がしみ出してきて中耳にたまります)が大人のそれと比べて水平で短いので、中耳炎になりやすく、また治りにくかったり繰り返しやすかったりします。
特に鼻汁が多く出て鼻の奥にもたまっていそうな時や、口を開けて呼吸しているような時は、特別に痛がっていなくても中耳炎はないかな?と心配してみる必要があるようです。
「滲出性中耳炎」治癒過程(右にいく程、治療が進んでいます)