中耳炎と鼓膜切開について

中耳炎とは鼓膜の奥の中耳腔(ちゅうじくう)の炎症で、急に膿が溜まって腫れたり・痛くなったり・ミミダレが出てきたりする場合を特に、急性中耳炎といいます。3歳以下のお子さんに多く、さらに2歳以下、1歳以下と年齢が下がる程に、治りにくくまた繰り返しやすい病気です。風邪などのウイルスでもなりますが、細菌も多く特に抗生剤も効きにくい耐性菌という厄介なものも増えています。よって、腫れや痛みが強い場合・熱が高い場合・抗生剤が効かず繰り返したり、下痢などで抗生剤が飲めなくなった・・などの場合は、麻酔をつけて鼓膜を切って膿を出し耳を洗う手術(鼓膜切開)が必要なこともあります。鼓膜切開は昔の抗生剤がない時代からずっと行われ続けている治療で、現代においても重要な治療方法の一つです。小さいお子さんの場合は切開しても傷の治りの方が中耳炎の治りよりも早く、2-3日で閉じてしまうことも多く、鼓膜の腫れが繰り返されることもあるため、鼓膜切開を繰り返し行うこともありますが、何十回切っても問題ないと言われていますのでその点は安心して良いと思います。ただ、3ヵ月くらいの間に5回も6回も切開をしなければならないようなお子さんには、切開したところが閉じないように短期間だけ留置する細いチューブをその場で入れることもあります。急性中耳炎は鼻汁の多さと関係が大きいので、一度中耳炎になったお子さんでは3日以上鼻汁が続いたらチェックの必要があると覚えておいて下さい。

また緊急性がないけれども、3ヵ月も6ヵ月も治療に反応せず中耳に溜まった水(滲出液)が抜けないようなやや慢性化した場合にも、鼓膜切開をすることがあります。聞こえが良くなると同時に、凹みっぱなしで薄く延ばされた鼓膜を張りのある元の状態に戻す効果も期待できます。ただ5,6歳くらいでアデノイドや扁桃腺が大きくて、何年も水が抜けない滲出性中耳炎の場合は、取れにくいしっかりしたチューブを入れたり、アデノイド・扁桃腺を切除するために全身麻酔の手術が必要となる場合もあります。

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